
工事監理とは現場監督さんの仕事ではありません。
工事の進行と、設計図と現場の確認をする業務です。
同じような仕事に見えるけど、現場監督さんは設計図を元に完成へ向け、工事の進行を直接専門会社に指示をして工事を進める指揮をとる業務。
私達、建築家が行う工事監理とは、設計図どおりに工事が施工されているかどうかを確認する仕事です。
現場に問題があれば手直しを求めますし、住い手のこだわりを一番理解している者として最高の家が実現することに努力します。
良く似てますが、でも本当の意味で大きく違うんですね。
まだあるんですよ。
同じ設計者のことを言う「監理者」だけど、もう一つの意味を持つ「監理者」もあります。
なぜ、もう一つの意味があるのか・・・
この説明をしないと工事監理が大切だという意味がわからないのです。
「工事監理」は設計者でしか行うことが出来ません。(建築士法)
しかし、その設計者は建築士の資格者で事務所登録していれば良いのです。
それがどの様な立場でも・・・
実はこの【どの様な立場】というのがすごく重要なことに皆さんは気がついていません。
設計者には二つの立場があります。
住い手の為の設計者。 それと、施工業者などが発注者となる設計者です。
同じように見えるかもしれませんが、実は全く違う立場の設計者なんです。
たとえば同じ技術を持つ建築士だとしましょう。
住い手が発注する設計者は、住い手の為に知識とその経験を最大限発揮してより良い住まいをつくる為に現場をチェックし、問題のある箇所は施工者にその指示をして是正を求めます。
では、施工業者が発注者となる場合はどうなるか-----。
この場合、設計者にとってお客さんは施工会社になる訳です。 もし、現場に出て、問題のある箇所を見つけたとします。 その設計者は元請である施工会社へ是正を言えるでしょうか? この後の仕事を考えると・・・
2005年末にある建築士が耐震偽装を行い、構造計算書を改ざんしました。彼はそれを断ることで仕事が無くなることを恐れ、その行為に手を染めたと公に発言しました。
私が2002年に当社を設立した原因はこの受注関係にありました。
大阪で個人事務所を経営していた当時、私は施工会社からの下請けもしていました。
住まい手から直接の受注と施工会社からの受注、両方からの仕事を受注していました。けれど住い手には同じ設計者、元請の仕事の時と下請けの仕事の時と立場が違うなんて事は理解できません。 ある住宅の現場が私のその後の仕事を変えてしまいました。
その時、住い手には大きな期待がかけられました。 しかし、現実は施工会社の下請けでしたので正式な設計・監理を行なう業務はありませんでした。その仕事を終えたことで、住い手に対して申し訳ないと思うと共に、本当の設計者が取るべきスタンスを知ったのです。 その後、施工会社と取引の一切無い会社を作る礎となりました。
施工会社が自社で設計と施工を行うという事は、社内で設計を行なっていたとしても設計者は社員だし、外部の設計事務所に外注しても上下関係が成立しています。
なにも施工会社全てがいい加減な仕事をしていると言っている訳ではありません。
良心的な施工会社も沢山あります。
ただ、家づくりには施工者と利害関係のない設計者が必要だ、と言う事は理解して頂けたと思います。よりチェックが厳しくなって安心だということです。


施工をしてゆく上で必ず私が確認すべき事柄。 それはたとえば基礎工事で言うと
・ 鉄筋のかぶりチェック
・ コンクリート強度試験
・ アンカーボルトの取り付け方法
・ 鉄筋径とそのピッチ
・ 指定数のホールダウンの位置確認
等のポイントがあります。

私はこれらチェックが必要な項目を、各工程ごとに全てをチェックする監理マニュアルを製作しました。
そのチェック項目は150項目以上にもあります。
この監理マニュアル(監理チェックシート)を、奈の町の工事監理報告書として、住まいが完成した後、全てを綴じ込んだファイルでお渡ししています。
監理チェックノートに確認者のサインとその結果が、『レ』で埋められれば安全な工事が行われた事を示しています。
これは工事監理報告書と言うより、工事保証書に匹敵するものではないでしょうか。

監理をする上で、施工会社に提出を求めている書類が沢山あります。
たとえば、コンクリート強度検査結果報告書もその1つ。
これは基礎コンクリートを打設する際に試験用のピースを作り、1週間後と4週間後にそれぞれ破壊試験を行います。 指定強度に達していないコンクリートは使いません。
奈の町では、コンクリート打設時の外気温でコンクリート強度の補正値を変えています。
寒い時期に打設するには指定強度は高く、暑い時期はその必要は無いからです。
スランプ値は18cmを、水セメント比は60%の指定です。

コンクリートの塩分試験も同時に行います。 これは塩分量の多い骨材(セメントと混ぜる砂や石)を使うと本来アルカリ性であるコンクリートが酸性化し、鉄筋が弱くならないよう一定基準の塩分量範囲内であることを確認する為の検査です。
これらの試験や検査結果が、適正なコンクリートが使用されたかどうかを確認する証明書となるのですね。 なを、コンクリートの強度試験や塩分試験は、コンクリート打設時の土間と立ち上がりの2工程とも行います。
また、電気配線と給排水の施工図の提出を求めています。
工事は設計図に沿って施工をしていますが、配線や配管を行う際、現場で打合せと共に行った実際の配線や配管経路を、専門業者自ら明記して作成して頂くものです。
この図面を求める理由はここにあります。
設計図はずっと残る訳ですが、将来リフォームなどで家の中を模様替えする際、実際に設計図どおり行っていれば問題ありませんが、現場で変更した場合はどこに経路が組まれていたのか全く分からなくなります。 この図面があれば、住まいの補修やリフォーム時に解体などの無駄のない確認ができ、不要な費用が最小限で済むのですね。
一度リフォームをされた方はこの図面の凄さが分って頂けるはずです。
その他、専門業者のリスト、コンクリート配合報告書、打合せ記録、器具の承認図、打合せ記録を一冊のファイルにてお届け致します。
これはまさに「我が家の品質証明書」だと思ってください。
奈の町では、現場を住まい手に見ていただきます、その内容も監理も全て公開します。
私が施工会社の担当者と交渉や打合せをしている内容も知ってもらいます。
隠す事は何も無い。 全て見せればいい。
それが「見せる監理」です
奈の町(2002設立当時より)では、現場監理は基本的に週一回を原則としています。
月間4回として、工事期間5ヶ月なら 約20回、現場に通うことになりますね。
その間で住まい手さんとお休みの日程が合う日は、現場で御一緒して頂く訳です。
完成頃には住まい手さんは、ちょっとした家づくりの専門家になられていますよ。
実際には基礎工事は頻繁に確認がありますし、地鎮祭、上棟、中間・完了検査などで週に1回以上になることもよくあります。
| ※ | お約束の現場監理の日以外に(浅野は気ままに現場に向かいます。早く仕上がりを見てみたい時、気になっている所があると足は現場へ向っています) |
私は学生頃からカメラに少しばかり趣味があったことも手伝って、現場の写真も結構たくさん撮っています。
デジタルカメラになって更にその枚数も増えました。
『工事監理報告書』の中には、着手前の調査時から、工事中、完成までの一連の写真をその日付毎に区分けしてCD-ROMに焼いてプレゼントしています。
(工事業者の現場写真とは別です)
当時の経過を楽しんで頂いたり、思い出として見ていただくのも良いと思います。

満足の家づくりをした貴方にとって、
これらはきっと楽しい思い出になっているはずですよ。