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設計事例

奈良町の家

新築リフォーム・リノベーション

奈良町の家

古町家と茶室のある住まいが同居する家
奈良市 Y邸  2012年4月完成

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新築部リビングデッキ

 

こんな家が欲しい

○既存の古い町家と住まいとなる新しい住まいをうまく繋げたい
○古い町家は将来別の用途として使えるように当初から計画して欲しい
○新しい建物に茶室が欲しい
○ダイニングテーブルはキッチンと一体になったものにしたい
○玄関は既存建物の中庭からと、建物横にある通路からの二方向で考える

 

あらましと設計コンセプト

100坪ほどの土地と、築100年程の古町家が建っている物件を
購入されました住まい手さん。 もともと古民家を探していた
そうで、ここを見つけて衝動買いで決めたそうです。

この建物は、購入前からマニアの中で話題になっている物件で、
奈良で有名だったシネマデプト友楽の創始者谷井友三郎の生家
だったとの事でした。
誰かこの家を買って、この町家を残してほしいと書かれていました。

住まい手さんはこの家をキチンとして保存したい。
出来れば宿泊施設にでも出来ないものかと考えてられました。
(現在は、奈良市の登録有形文化財(建造物)に指定されています)

登録有形文化財(建造物)

そんな住まい手さんにお会いし、一緒に面白い家を建てましょうと
意気投合したのがこの住まいの始まり。

ご希望は、
○町家を残しつつ暮らし易い住まいをこの建物の奥に建てる。
○奥さんの茶室を新居に組み込むことみたい。
○コンパクトに使いやすく、面白く。

結果、木の天板で造ったキッチンも、外壁の飛び出したお手洗い
さえも楽しい住まいになりました。

 

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新築部分の茶室

 

私(浅野)が書いているこちらのブログで工事中から完成まで
現場の様子を紹介しています。

 

まず初めに現状(購入時)の様子をご紹介します。

物件は奈良町の中にある古民家。
築年数は二階にある数本の御幣から読み取ると、約100年程で
あろうか。 家の格は高いものと判断します。

初めてドアの中に入らせていただくと、そこには家財道具一式を
そのままに、何年も放置している状態でした。
黒電話にアイロン、扇風機、パイプイスなどタイムスリップした
かの様な品々が散乱しています。 建物については建具はぼろぼろ、
壁は汚れ放題ひび割れ放題、畳はフワフワとなっている。
二階の壁の一部はすでに剥落している部分もありました。

この住まいは経年変化で汚れていることを含め、特に内外部の壁の
傷みが激しい。 各所に大きなクラックが入っている場所や、
すでに壁自体が剥落している箇所まである。

そのため今回は壁の大規模な範囲にわたる補修と、洗い工事が
今回の工事の大きなウェイトを占める。
なを、予算の関係上耐震補強は行っていない。

外壁は道路面と反対の北面が激しく痛んでいるので、全面漆喰にて
塗り直しとする。
中庭に面する渡り廊下建屋は、屋根からかなり傷んでおり、
瓦の葺き替えと野地板の補修、壁・天井・床ともやり替えた。
まさに柱等骨組みを残してほとんどやり替えとなる。

建具は使えないものは処分、障子の張り替えの出来るものは張り替え、
建具が歪んでいるものは補修することとなる。

 

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外観です。
玄関に入ります。
足元には、雨水がにじんでいました。
どこからか、水が入っているのでしょう。

下の写真は、通り土間に入りました。大きな水屋が作られています。

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左手の座敷です。

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隣りの部屋

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内部が散らかり放題である事が分かりますでしょうか。
散乱しているものは、時代をタイムスリップしたかのようなものだらけ。

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座敷です。
唯一、まだまともな部屋でした。

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隣りの和室です。

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中庭です。
草がぼうぼうで、、、

nanomachi.co.ltd渡り廊下は、

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中廊下の屋根は古すぎて使えません。

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中庭の対面にある平屋の建物は、時代も新しいので、これは解体して
新しい建物をこの中廊下に接して建てることを決めました。

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通り土間です。
古いかまどがありました。
壁の漆喰は、灰色でモルタルの色に変色しています。

nanomachi.co.ltdかまどです。
今回は撤去せず保存します。ただし、煙突は撤去するので復元は意匠のみです。

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玄関横の木戸を抜けると奥へと続く通路になります。

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井戸も残っています。
正面に見える扉(レールが壊れて動きませんが)を開けると
台所に繋がります。

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井戸の向こうは、裏庭へ抜けるための通路です。

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nanomachi.co.ltd裏庭です。つ
広ーい庭が広がっています。

以上が、購入時に現地調査に入った際の写真です。

 

さて、

これから、奥の建物を解体して、新築した内容をご紹介します。

まず初めに模型から見て頂ければ、新築部分がどの様な形状をしているのか
が、分かり易いと思います。

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模型の手前は途切れていますが、現場はずっと広い庭になります。
左手奥から通路を通って、

階部の飛び出している部分の下、ここが玄関になります。

 

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では、正面道路から横の通路を入ってきます。

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以前は道路面に戸びらがありましたが、今度は入口からのアプローチをとりました。
そして、通路の奥に新たに門屋をつくる事で、結界を分けました。

 

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門屋を抜けると、以前井戸のあった庭に出ます。
ここから町家へ出入りすることができます。

玄関へはこのまま奥へ進みますと玄関ドアにたどり着きます。

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玄関に到着しました。

 

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玄関へお邪魔します。

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玄関はコンパクトで、正面に照明のある壁で視線を停めています。
写真手前は厨房の可能な土間、正面入口になります。

靴を脱いで中に入ると、

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正面に大空間が広がります。

狭く天井の低い所からの大空間ですから、来られる方は大抵
驚かれますね。

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ここはLDKになっていて、ビックリする程明るくて、でもしっかり
プライバシーの確保している特別な空間です。
この雰囲気の空間は、私(浅野)がとっても好きな場所ですね。

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真ん中にある大きなテーブルは、建築家具として制作しています。

キッチンで作った料理をそのまますぐ食べられるのが利点。
コンパクトですが機能性が最大で、居心地最高です。

 

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キッチンは、制作の木製カウンターです。
天板も扉も、ダイニングテーブルもすべて無垢材で出来ています。

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では、2階に上がってみましょう。
ここはプライベート空間になっています。

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階段を上がると1段上がったところにお手洗いと洗面を1つにした空間を
儲けました。
この窓から見える景色もまた綺麗なのです。

実はこのスペース、模型で見ても分かる通り、建物の外壁から
ポッコリと飛び出しています。
意図的に飛び出させたのですが、理由は入口アプローチから見える
突出している面白さと、下にある玄関の屋根代わりが目的。

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この窓も開口するとすべて開口します。(半分のサッシが無い)

収納スペースです。

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この収納には着物の収納もつくりましたし、遊びもありますよ。

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廊下には吹き抜けに面してCDの収納ラックを設けました。
当初お話しをお聞きした際、CDを大量にお持ちだそうで、
これを収納する場所が欲しいとの事でした。

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カウンターの下にオープンラックが見えると思います。

まあ、ここにいると遠い景色が先に目に入りますよね。
ところで、このカウンター、ただのカウンターではありません。
よく見ると分かるかもしれませんが、将来、障子を入れることが
出来るように溝を切っています。
勿論、鴨居も取り付けています。

視線を止める必要があるときはいつでも取り付けが出来るのです。

物干し用のバルコニーも設けました。

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ここなら雨の日も安心して干すことが出来ますね。

さて、1階に降りてきましょう。

リビングにある大開口がありましたね。
ここを開け放つと大きな庭があります。

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大きな空地があるとこへ向いて、あ、南側です。
大開口の開口部を設けました。

写真で見える障子は壁の中へ引き込んでしまいますと、
目の前には庭が広がります。(もう1件家が建てられます)

 

さて、
話を家の中に戻します。

この家の特徴として、築100年の古民家である事でした。
そして、新築部における大きな特徴と言えるのは、”茶室”です。

奥様がお茶の先生である事から、本格的な茶会の出来る茶室を
設けました。

茶室は4畳半。
全て本物の杉とヒノキで造り、土壁と吉野の手すき和紙を
使った本気の茶室です。

 

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茶室の天井は低く、貴人口(入口)の高さも実に微妙な高さ(目の高さ)
ですので、顔をぶつける事何度ありましたか・・・(笑)

炉も本格的に切っています。

給仕口になります出入り口には水屋もつくりました。

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杓子を掛ける竹釘も本物ですし、シンクもちゃんと使えます。
全て作法通りです。

お客様として入場される入口は、にじりくちではありません。
防火地域の関係から、杉板の出入り口は出来ませんので)

古民家から中庭を見て、扉を抜け、縁側から入る形式です。

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正面に見えるヒノキの扉が、古民家からの玄関戸です。
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ここに招かれる機会がありましたら、是非見てくださいね。

中庭をご紹介と一緒に、古民家から見た新築部分の外観は
この様になっています。

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完成後の中庭をご紹介します。

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新築部分から見た既存建物と中庭です。
中央にある高い樹は、梅です。
樹齢100年程で、創建時に植えられたものだと思います。

梅の花の咲く季節、樹の上で梅の花が咲きます。
花が散って、床が花びらでうろつくされる頃、梅である事に
気づきました。

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古民家側から見た中庭です。
中廊下に面した小部屋は、以前お手洗いと浴室でした。

今回は浴室スペースにお手洗いを、お手洗いスペースは綺麗に
改修して収納庫になっています。

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次は、古民家の改修をご紹介します。

玄関を入った通り土間

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座敷に上がります。

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2階へ上がります。

階段です

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これが本物の土壁(中塗り)仕上げです。

立体感のある味わい溢れる仕上げは、見る人に感動を与えます。

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床の間の真ん中を真っ二つに割るクラックも、しっかりと
美しく補修されました。

 

まあ、ホントに美しく仕上がりましたね。
以前の建物とは全く違う印象だと思います。

今回は、古民家部分は復旧を目的に行いました。
これだけでも全く違うのが分かって頂けると思います。

建て替えばかりでなく、しっかりと作られた家は改修することで
以前の新しかった頃の建物へと戻ってくれるのがよく分かる
ケースでした。

 

 

2017年6月

浅野勝義/奈の町

 

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