マンションだから必要な修繕積立金を知る重要性

前回は、賃貸マンションから分譲マンションへの住み替えについてでしたが、
今回は、修繕積立金と大規模修繕工事に関する話をさせて頂きますね。
戸建て住宅には無い、管理費と修繕積立金。
この修繕積立金とは、マンションのメンテナンス(改修工事用)に積み立てられるお金です。
今回は、そのマンションに十分な修繕積立金が有るのか、また無いのか。
無い場合はどうなるのか。そういったちょっと分かり難いマンションのお金についてお話しします。
安いとか高いとか言っているこの費用について疑問のあった方は、ぜひ読んで見て下さい。
マンションのメンテナンスにはお金が掛かる
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税法的にマンションの耐用年数は、47年となっています。
実際はそんな短い寿命である訳がないのですが、必ずやってくるのが、
”劣化”です。 まあ、人もそうではありますが。
“劣化の修繕と改修”は、大きなメンテのお金が掛かります。
問題は、その為のお金がマンションにあるか、という事です。
修繕積立金がないと、借金をするか、現金を持ち出しするしかなく、
修繕積立金が不足していたばかりに借入をしていたマンションの場合は、
買った途端に”負債”が付いている事になる訳です。
マンションのメンテナンスとは
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この”劣化”に対してある程度の期間を定めて、全面的に修繕もしくは改修するのが
大規模修繕工事と言います。
その期間は、約12年前後と言われています。
建築費の高騰や築年数の多いマンションが増えて行くことから
修繕積立金が不足に陥るマンションが増える傾向にあるとし、
2021年国土交通省は改修周期を12~15年へガイドラインを変更しました。
期間を少し伸ばして積立金を増やす方向に切り替えたわけですね。
それ位、マンションの修繕積立金は不足気味になっているという事です。
もう少し詳しくお話しします。
マンションがディベロッパーにより新築されると、完売を目的として管理費や
修繕積立金を少額にして販売される傾向があります。
その方が完売し易いですから。
完売後は管理組合に引き渡されるのですが、管理組合が1回目の大規模修繕費用を
見積もりすると、いきなり不足している事に気づき、管理費を上げる検討に
入ります。
修繕積立金不足の対策として考えられる方法は、前回お話ししました通り、
1,毎月の修繕積立金を段階的に増やす
2,必要な修繕積立金を区分所有者から一時金として徴収する
3,大規模修繕工事の期間を遅らせる
4,不足分を融資機関から借入しそれに充てる
でした。
1の修繕積立金の値上げは、段階的にスライドする段階増額積立方式と
均等積立方式があります。これは簡単に言うと、段階的に上げて行く方式と、予
算と期間から必要金額を出して均等となるよう金額を決める方式です。
いずれの方式を採用するにしても修繕積立費は上げざるを得なくなります。
だから、入居時は安かったとしてもこの費用は必ず上がると心得て下さい。
本来、長期修繕計画を立てて大規模修繕が可能なように計画していたはずなの
ですが、現実的には難しいと言うところでしょうか。
工事予算は、一般に1住戸当たり約100万前後と言われています。
100戸のマンションであれば、大体1億程度でしょうか。(私は少ないと思っています)
住戸数の小規模のマンションの場合は、戸当たりの金額は増えます。
その後、
毎月の修繕積立金を上げたり、一時金を徴収したりして1回目、そして2回目の
大規模修繕を終えました。
更に築30年を過ぎると、3回目の大規模修繕工事がやって来ます。
特に3回目はちょっと厄介です。
3回目はより大掛かりな工事になる
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3回目というと、12年間隔だとすると36年ですが、改修する部分等が異なるので
約30年目以降のタイミングになります。
この大規模修繕工事には設備配管(給排水ガス)の交換とエレベーター交換、消防設備、
バルコニー・廊下階段の手すり交換、玄関ドア・サッシの交換(断熱工事)、等々
2回目までには行わなかった工事が目白押しに出てきます。
給排水菅の交換なんてちょっと考えただけで予算不足になりそうですよね。
まあ、実際にそうなります。
まず、2回目も厳しいです。管理費・修繕積立金を上げたとしてもカツカツで完了
できれば御の字でしょう。
それから次の修繕積立金を貯めてゆきますから、3回目は予算不足になる確率は
かなり高くなります。
その時にどう対処するか。
結局、管理組合の運営にかかっています。
もし、融資機関で借入して大規模修繕をした場合は、そのマンションは資産価値から
借金した分を引いた価格が、そのマンションの評価となります。
これが負債付きのマンションと言っていたものです。
まとめ
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そこで、中古マンションを購入の際、そのマンションの持つ修繕積立金や長期修繕計画等について
情報を詳しく調べる方法があります。
管理会社が発行する、<重要事項調査説明書>と<修繕積立金と長期修繕計画書>という書面です。
また、この書面から積立の方法、長期修繕計画、団地形式のマンションであれば、各棟の修繕積立金も確認できます。
他に、いつ大規模修善工事や間の期間に改修工事を行ったのかという履歴情報も大切です。
次回の大規模修繕工事の時期を確認したり、修繕積立金が不足するのをどの様に対策しているかを
確認する必要がありますし、もしかしたら一時金で対応することを計画しているのかもしれません。
この資料は、区分所有者である売主または不動産仲介会社を通じて入手することが出来ます。
これらの書類を読み解けば、目的のマンションの長期修繕計画の全体が見えてきます。
ただ、これらの書面を管理会社に発行を求めると、平均2~3万円が必要になる場合がある事も
お伝えしておきますね。
ちょっとここで、
中古マンションを購入する際に大切なことをお話しします。
その購入対象マンションの築年数が何年で、前回大規模修繕の行われた年度と、
次回の大規模修繕工事の時期が分かれば、自ずとそれまでの期間にどれくらい資金が貯まるかが
想像できます。
その際にどれ位の修繕積立金が必要かは、工事に必要な費用を概算で算定して住戸数で割ればよいのです。
目安を言いますと、先に話しておりました1住戸当たり100万円とはになるのではないでしょうか。
マンションの住戸数で割る戸数あたりの資金を算定すると良いです。
現在、建築費が高騰していますから、更に工事予算が増えることも視野に入れておき、
ある程度の規模を持つマンションであれば、現実的に100~130万円/戸当たり、
戸数の少ないマンションであれば200万以上の資金が必要になると考えられます。
兎に角、お金が掛かる訳ですが、管理組合も専門知識の持たない一般の方が集まった
方々が運営している訳です。
1億を超える金額を保管・発注依頼する訳ですから、責任も重大ですね。
マンションに居住されている各専門家が集結して管理組合を運営している所も
あるようですよ。
浅野勝義/奈の町

