「子供逹が巣立った後、使わない部屋が3部屋あります。
この大きな家を売却して小さな家に移ろうと思ったのですが、長年暮らしたこの家には愛着あるし、他に自分達に合う選択はありませんか?」
小さな家に移るのであれば、現在の住まいを
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解体して、コンパクトな建物として建て替える方法があります。
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売却して、交通の便の良い手頃な広さの賃貸住宅に移るという方法があります。
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売却して、中古住宅を購入しそこに移るという選択があります。
他の選択として
4.使っていないスペースを賃貸併用住宅へとリノベーションして貸す方法があります。
そこで、聞きなれない賃貸併用住宅とはどんなものなのかも含めて、詳しく説明いたします。
また、実際に10年、20年、25年先の資金の動きをシミュレーションしてみると、意外なものが見えてきました。
そこから今後の住まいの使い方が見えてくるかもしれません。
選択の一つとして、賃貸併用住宅というのは空いている空間を使って、そこから家賃を得る方法です。
まず、『賃貸併用住宅』とは、どんな住宅なのか?
という説明から入りましょう。
賃貸併用住宅とはどんな住宅なのか
一つの建物内に持主の居住スペースと賃貸用の居住スペースが共存している住宅をいいます。居住部分に賃貸部分を併せ持つことによって、家賃収入を得ることができるメリットがあります。
今回の話は、既存の広い住宅で使っていない空いたスペースを一つの住居として住めるように改修して賃貸とし、そこから家賃を頂くことです。
ちょっと、”賃料をもらう”というところ、気になりますよね。
では、この賃貸併用住宅へと変更する場合のメリット・デメリットをお話しします。
賃貸併用住宅のメリット・デメリット
[メリット]
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子供たちが独立した後の夫婦2人の生活では、新たに小さな家を建てるよりも、空き部屋を賃貸併用住宅として利用し、家賃収入を得ることが可能です。
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子供夫婦と同居することになっても、賃貸併用住宅を二世帯住宅として使用することも可能です。
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賃貸併用住宅では元々空いていた空間を利用するため、賃料がなくなってもローンの支払いが困難になるというリスクはありません。
[デメリット]
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リノベーション費用が新たに必要になります。
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空室になること。空室にならないようにすることが、重要となります。
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賃貸併用住宅が木造である場合が多く、騒音によるトラブルが発生しやすいです。
4つのケースをシミュレーションしてみます
大きな家に住んでられるケース(このテーマではある程度高齢の方になります)に提案可能な案として5つお話ししました。
第1案) 解体して小さな家に建て替える
第2案) 家を売却して、コンパクトな賃貸に移る
第3案) 大きな家を売却して、暮らしやすい中古住宅を購入して暮らす
第4案) 使っていないスペースを賃貸併用住宅へリノベーションして貸す(子世帯と住むもココに入ります)
そこで、わかり易くする為に情報を仮定してみます。詳しい情報を入れるとその将来がリアルに見えてきます。
【モデルケース】
会社員の夫と専業主婦
夫・妻とも65歳
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住所:奈良県郊外の住宅地
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現在の住まい:木造2階建延べ床面積48坪、築24年、売却額の査定が手取りで約3000万円
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現金:退職金と現金合わせて 2000万円
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住宅ローン残高:500万円
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厚生年金:22万円 ※標準的な夫婦(夫が会社員として平均的な収入で妻が専業主婦)の場合、年金は全額受け取ると22万4482円
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毎月の生活費:24.8万円と想定します(2021年総務省統計局による家計調査では、1ヶ月あたりの2人暮らしの平均生活費は24万8143円より)
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居先の賃貸マンションは、2LDKの65m2の物件とします。 家賃は月額75,000円管理費込み。
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転居先の中古マンションは、1600万+諸経費100万+リフォーム費300万で1900万、同管理費は修繕積立金共で27000円/月額
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建て替えを行う場合は、現在の住宅建築事情を考慮して、建坪28坪、建築費+外構費ともで3000万円(税込)を想定
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車の乗り換えを67歳と72歳で2回買い換え(下取り別で250万)を行うと想定
今後、25年先まで想定します。
上記条件にて仮定してモデルケースでシミュレーションやってみました。以下の数値は20年目の状況を示しています。
シミュレーションの方法は、年次毎の数値ではなく、受け取るお金として”収入の部”、支払うべきお金として”支出の部”として総合的に手元にある資産を表す形にしています。
算定は、20年後の収支について行なってみました。
『第1案』解体+建て替え
現在の住まいを解体し、小さな家に建て替えする
[収入の部]
現金2000万円(退職金+手持ち現金)
厚生年金 22x12x20年=5280万円
合計 7280万円
[支出の部]
解体費 300万円
建築費 3000万円
生活費24.8万x12x20年=5952万円
車の入れ替え(5年毎)250万x2回=500万円
住宅ローン残高 500万円
支出合計10252万円
▼2972万円のマイナスになりました。
『第2案』売却+賃貸マンション
現在の住まいを売却し、賃貸マンションで暮らす
[収入の部]
自宅売却により、現金収入2894.4万円(仲介手数料104.6万円)
現金2000万円(退職金+手持ち現金)
厚生年金 22x12x20年=5280万円
合計 10174.4万円
[支出の部]
生活費24.8万x12x20年=5952万円
家賃 7.5万円x12x20年=1800万円
車の入れ替え(5年毎)250万x2回=500万円
住宅ローン残高 500万円
支出合計8752万円
△1422万円のプラスになりました。
『第3案』売って買って住む
現在の住まいを売却し、中古マンション購入しで暮らす
[収入の部]
自宅売却により、現金収入2894.4万円(仲介手数料104.6万円)
現金2000万円(退職金+手持ち現金)
厚生年金 22x12x20年=5280万円
合計 10174.4万円
[支出の部]
生活費24.8万x12x20年=5952万円
中古マンション購入代(諸経費100万込)1600万円
マンションの管理・修繕積立金27000x12x20=648万円
車の入れ替え(5年毎)250万x2回=500万円
住宅ローン残高 500万円
支出合計 9200万円
△974.4万円のプラスになりました。
『第4案』賃貸併用住宅にリノベーションする
現在の住まいをリノベーションし、併用住宅として一つを賃貸で貸す
[収入の部]
賃貸部分の家賃収入 85,000x12x20年x入居率90%=1836万円2550
現金2000万円(退職金+手持ち現金)
厚生年金 22x12x20年=5280万円6600
合計 9116万円
[支出の部]
生活費24.8万x12x20年=5952万円
リノベーション費用 1300万円
車の入れ替え(5年毎)250万x2回=500万円
住宅ローン残高 500万円
支出合計 8252万円
△864万円のプラスになりました。
※更に物件を売却していないので資産はそのまま残っています。
共通但し書き
⚫︎介護保険料及び健康保険料等についての検討は含んでいません。
⚫︎固定資産税等の税金については検討に含んでいません。
⚫︎車の維持費についても検討に含んでいません。
⚫︎第1案は、新築として建てるのみで収益がないので対象外とします。
グラフによる視覚化
第2案、第3案、第4案を抽出し、収支について5年毎の変化をグラフ化すると、どの様な経過を辿ることになるかが見えてきます。