【補足1】敷地と道路、水路に関するお悩みにお答えいたします。
奈の町のサイトにて公開中の
【不動産購入前に。 土地・中古住宅・マンションの重要チェックポイント 無料公開中】
の補足内容として追加いたしました。
ご参考にしてください。
早速始めたいと思います。
敷地が道路に面するケースで、水路が絡む場合、様々なパターンが考えられます。
例えば、道路に水路があるパターンだとしても4つ位のパターンが考えられます。
⚫︎道路と敷地の間に水路がある。また、道路の幅員が4m未満の場合。
⚫︎道路と敷地の間に水路がある。また、道路の幅員が4m以上の場合。
⚫︎道路の反対側に水路がある。また、道路の幅員が4m未満の場合。
⚫︎道路の反対側に水路がある。また、道路の幅員が4m以上の場合。
この4つのケースではそれぞれ対応の仕方が異なります。
今回は、そういった少し特殊な道路について様々な注意点や対処を紹介します。
A-1,敷地 と 道路の間 に 水路 があり、橋 を渡って中へ入る 敷地。
建築基準法には、敷地は道路に2M以上接しなければいけない。
と明記されています。
敷地と道路の間に水路があると言うことは、その敷地は道路に接していないと言うこと。
これでは家を建てることが出来ません。
そこで道路と敷地を接する為に水路の上を個人的に占用と言う形で橋などの構造物を作り、
道路と敷地を接するようにします。これには水路の専用許可が必要です。
一般に住宅用の占用許可の幅は住宅で2Mです。
また、この上は駐車場としては使えません。(よく橋の上に自動車が停めているのを見かけますが・・・)
すでに橋が架かっている土地であれば、占用許可が取れているものかも確認します。
取れていなければ無許可で橋を架けている事になりますので、再度専用許可が必要です。
手続きとしては水路占用許可といって、水路は国有地であり本来は国が管理・許可を出す
のですが、現在は市町村が管理していますので市町村の窓口にて手続きを行います。
ちなみに占用許可を取るためには、水路の明示が必要です。明示がないと境界が確定できません。
こういった土地を購入する場合は、占用許可の手続きと橋の築造費用を別に考えておく
必要があります。
申請費は10万程度(占用許可)、橋は距離や構造によって費用は変わります。
住宅用ですので簡易な橋としても150万程度は見ておくと良いのではないでしょうか。
但しこの金額は水路の幅や、構造によって変動します。
判断の分からないときは、専門家または地域の地方公共団体ににお問い合わせ下さい。
※水路とは側溝ではありません。法務局で調べると分かりますが、青線水路と言われる地番のない水路のことで、昔田畑へ水を供給していた農業用水路であり、一般的な惻溝とは異なります。
※道路の両サイドに60cm程度の水路に接している地区で、敷地を調べた際に、この地区は水路に接していても道路に接していると考えて良いという判定をしている市町村がありました。
A-2,狭い道路 の 反対側 に 水路 がある。
狭い道路と言うのは、概念として4M未満の道路で、一般に2項道路か43条ただし書道路に当てはまります。
まあ、道路名はなんでもいいのですが、建築基準法の道路である事が大切です。
テーマにあります対側側に川(水路)がある場合は、建築基準法上、道路の一方後退が発生します。
一方後退というのは、対側の水路から(水路は含みませんヨ)4m後退したラインが道路境界線とみなします。この区間は”道路”になります。(所有権は貴方にあっても)
すごく不納得になるかもしれませんが、後退を水路側に取る事は出来ないので法律上はこちら側への一方後退にななるのです。当然、後退部分の敷地は、今回確認申請手続きする敷地の中に含まれませんし、その中に建物はおろか塀や門を築造することも出来ません。
また、このケースには注意すべき点があります。
それは対側にある水路の幅員を確定した水路明示を受けているかどうかによります。
水路明示書があれば道路後退の位置は確定できますが、無ければ道路境界のポイントが確定できないので、水路明示の手続きから必要になります。
道路の反対側に水路があるパターンは、自分側の敷地が少し減るだけで対処が可能です。
しかし、これが自分側に水路がある場合は水路明示の際に面倒なのです。
ちなみに水路の代わりに”崖”等がある場合は、同じく一方後退が必要になります。
理屈は相手が崖ですから後退できません。4m以上の道路幅員を確保するには自分側が後退するしかありません。
A-3,狭い道路の敷地側に水路がある場合
狭い道路で水路が自分側にある場合は、相手(対側)側の敷地に道路後退が必要になってきます。
このパターンは少々厄介です。
対側の所有者が明示書にサインをするということは、道路の後退線を認めるという事になります。
敷地が減ることを認めるサインでもある訳です。
誰であってもあまり歓迎してくれる依頼ではありませんが、農家の方は特に嫌がられます。
道路が広くなるより敷地が狭くなる方が困るからですね。
ちなみに明示が取れなければ、敷地は道路に面していないので建築できません。
もし、購入を検討の土地がこれにあたるのであれば、ます第一に水路明示書、次に後退部分がどれだけあるかを確認して、残った敷地に対する購入価格を検討しましょう。
それを理解せずに買ってはいけません。
A-4,水路があるが、道路が広い(4m以上)場合
水路の位置が敷地側でも対側側であっても、接道している道路幅員が4m以上あればまず問題はありません。
ただ、水路の明示と占用許可は必要です。
例えそれらが無かったとしても、新たに申請すれば大抵は入手可能です。
しかし、水路明示、占用許可、橋に類する構造物の費用は必要になりますので、事前に不動産業者と建築会社との相談は必要です。
A-5,水路はあるが敷地境界側にある場合
住宅(敷地の広さが市町村の指導要項に抵触する場合は別)を建てる場合は、建築確認時に水路明示の司令書は必要ありません。
ただし、水路明示があれば、建築確認申請時に採光の緩和や斜線の緩和等が受けられます。
住宅以外の建物を建築する場合は、市町村の事前協議が必要となるため境界確定の明示は必要になります。
次は、
敷地の境界ポイントについて
B-1,隣地境界上 にブロックがあり ブロック の 真ん中 が 境界 になっている
『境界沿いにブロックが立っていて、このブロックの中心が境界線だと聞きました。
何か支障はありませんか?』
という質問にお答えします。
こういったケースは思いのほか古い物件に多くあるようですね。
分譲地などで見られる訳ですが、まず、そのブロックは隣家とこちらで1/2の権利を持っていると言うことなりますね。そうすると将来ブロックが痛んだ場合や、傾いたり、倒壊した場合はどちらが修理するのでしょうか?
そうです。
隣家と半分ずつ出し合うわけです。 相手が出してくれればの話ですけどね。
構造物が他人(隣家)と共有の場合、修理などで費用の出費を必要になればお互いで費用を出し合うことが前提ですが、相手がそれを拒否した場合、対応は難しいものとなります。片方の都合で撤去はおろか補修さえもできないのです。現実には出来ないと言ったほうが良いでしょう。
それと、そのブロック塀は違法になっていませんか?
ブロック塀の高さは1.2mまでで、それ以上は3.4m毎にどちらかの壁に控え壁が必要になってきます。また、ブロック塀の最大の高さは2.2mとなっており、その高さの測定方法にも決まりがあります。
塀に限らず他人と共有する構造物でやり替えや補修が上手く行くケースはまれです。
相手の都合でお金はすぐに出せませんから。
分譲会社もそれを作ろうと考える担当者も、こういった作りはやめて欲しいものです。先に購入された方は、そのことを念頭に入れて長期的なメンテナンスを計画しておいてください。また、購入を検討されている方は、その辺りのことを理解した上で決断してください。
B-2,境界沿い に建っている ブロックの高さ が1.2Mより高い
境界沿いのブロック高さがとっても高い(1.2Mを越えている)ケースです。
まず、その塀が1.2Mを越えていれば一定区間内に控え壁が必要です。
区間距離は3.4m毎に必要です。(位置は隣地側でも手前側でも可)
且つ、控え壁の出は、高さの1/5が必要です。
勿論、控え壁の仕様は決まっており、接合部部分は鉄筋コンクリートで接続されています。 ブロックが付いているだけのような形状は、控え壁には各当しません。
控え壁が設置されているか確認していただき、あれば一応安心と言うところ
でしょうか。
控え壁のない場合は、1.2M以下にカットするか作り替える必要があります。
ブロック塀の高さが2Mを超えている場合は、建築確認が必要です。
また、石積みやコンクリートの擁壁の上に、コンクリートブロックの塀を設置するのは2段擁壁と言い、これらの構造は違法になります。
B-3,敷地の境界ポイントがない。(隣地所有者との立ち合いが無い)
例えば四角い土地だとします。
道路面の2点、奥の2点は必ず購入時に確認しておくべきです。
確認方法は、現地の境界部分にシルバーの矢印プレートかコンクリートの十字杭で
表記されたものをご自身で確認してください。
その際、敷地の測量図(隣地所有者の承認印のあるものが良い)があるとベストです。
中を確認して4点がきちんと距離とともに表記あれば満点です。
表題はこれが無い場合ですね。
隣地立会いのポイントが無いわけで、貴方が後からここへ来る訳なので隣地の所有者と
立ち会うとかなりの不利を覚悟していただくことになるでしょう。
「以前こういった話だった。」
「ここで以前決めたはずだ」
「うちの庇の先が境界だ」などと 一方的な話で境界を押されてしまうケースがほとんどで、
登記上の面積を確保することは難しいでしょう。
たとえそれであったとしても、購入前にポイントを確定しておいて欲しいと思います。
後から改めてポイント立会いを求めることは非常に難しく、また、年月が経つと所有者の
死亡などで権利者が多くなったりすると、権利者全員の承認を得ることが更に出来なく
なってしまいます。
大切なことは、将来に向けて隣地ともめることの無いように、購入時のタイミングで
境界のポイントを画定してください。
それが今後のトラブル回避になるのですから。
B-4,敷地内 の 最終下水桝がない。または 下水 は通っているが 敷地内 に 最終桝がない。
敷地を見に行くと、下水桝の無い現場があります。
原因は三つあります。
一つはこの地域に公共下水が通っていない場合。
もう一つは通っているけれどこの敷地への下水管接続がされていない場合。
最後に公共下水が無く浄化槽設置の区域である場合です。
ニュータウンなどのまちづくりとして開発されたところはほとんどの区域で
下水の放流が出来る敷地内最終枡が、道路に接する敷地1区画に付き設置され
ています。
これは敷地内の汚水・雑排水をそのまま放流が出来る桝(公共下水)で、この先
に下水本管があり処理場へと流れてゆきます。
公共下水があるととっても助かりますよね。
ただ、使用量は水道の使用量に連動して請求がきます。
最終枡が敷地内に無ければ、新たに設置して下水本管へ接続する方法があります。
接続は市町村の下水担当課に手続きすれば可能ですが、道路内での掘削・本管への
接続・敷地内に最終枡の設置・舗装の復旧と工事分の費用は建築主の負担になります。
水道引き込みと同時に出来ればよいのですが、これも認めていない市町村があるから
行政は不思議です。
ちなみに費用は、一式すべて込みで60万程度の出費が必要です。
(水道の引込に要する施設協力金(メーター料)は別)
B-5,敷地の接道は一方道路と角地のどちらが良いか?
この質問に際して皆さんの回答は、当然角地だと答えるでしょうね。
確かに2方向が道路であれば明るいですし、角地の適用があれば建蔽率も緩和
されますので良いですよね。
でも、私の回答は、条件によってどちらのケースもあり得るというのが
私の見解です。
それは何故か?
判断の分かれ目はその道路の幅員にあります。
接道する道路が4M未満の道路であった場合、角地は2方向から道路斜線の
規制に掛かります。
道路斜線とは道路側の建物は、その道路の幅員と用途地域の区分けにより、
幅員に1.25又は1.5の倍率を掛けた範囲内に建物を建てることは出来ないと
言う事です。
私の経験でこんなケースがありました。
前面道路は7m程ある敷地で、西側に70cmほどの他人地がありその向こうに
2.8Mの道路がありました。
2.8Mの道路とは直接面していませんが、道路後退を考えるとその殆どが後退
部分に含まれてしまいます。
わずかな隙間しかない土地であっても隣地があることで道路に接していない
ですので道路斜線は受けないのでは?
検査機構で交渉しましたがこれは受け入れられませんでした。
見解は道路斜線の影響を考えてくださいと。
その土地の敷地に実際に建てた計画はこうです。
土地が60坪ほどあり、道路面は南向き幅員は7M以上。
南側に駐車場と庭を大きく取り、東西面は境界から60cmほど話して北側へ
寄せて計画していました。
南側の道路についての斜線なら全く問題なしです。
建物は南面に屋根が架かる切妻ですので東西に三角の妻面が出来ています。
もし、西側が道路斜線の影響を受けるとなると、西側の道路斜線により
建物の屋根だけでなく、2階の一部もカットする事態になってしまいます。
広い道路の持つ2A(道路の2倍までの距離)までの斜線緩和で建物の大方は
クリアしましたが、残る一部がどうしてもクリアすることが出来ません。
そこで、天空率の計算を行い申請でクリアし何とか切り抜けました。
このケースでどちらも狭い道路ですと切り抜けることが出来なくなります。
4M道路の場合道路斜線は、住居系ですと1.25倍。4mx1.25=5mです
ので普通に2階の桁が建てられません。ですので道路からある程度建物を
後退させてもよいほどの敷地の余裕が必要です。
この事で学んだことは、2方向道路であっても4mに満たない道路幅や、
4m程度の道路幅だと逆効果となります。
また、道路に対して奥行寸法の短い敷地だと、道路斜線ばかりの影響を
受ける建物になってしまうので上に伸びる高さのある建物が難しくなります。
道路幅員が広い場合は、角地の利点が多く受けられて良いですが、
道路幅の狭い角地はかえってそれが逆効果となるところがあります。
ご注意ください。