土地建物を共有名義にするメリット・デメリット
土地を買って住まいを建てる際、土地又は建物について登記をします。
その登記の際のご質問です。
「登記を夫婦共有名義にするメリットとデメリットは?」
そもそも土地建物の登記とは、不動産に関する権利(所有権や抵当権)を第三者に対抗するために行う行為で、土地を購入するか、建物を建築した際に行います。
登記を行う際は、不動産の現況を公示する『表示に関する登記』と、権利関係を公示する『権利に関する登記』の2種類があります。
『表示に関する登記』とは、何処(場所)にどれだけの広さといった表記で、建物なら木造2階建ての〇〇㎡といった現物の表示です。
権利に関する登記」とは、表示された不動産は誰が所有しているのか、またその他の権利は誰が持っているかという表示です。不動産には全てこのどちらも表記されています。
住まいを建てた場合は、土地に対する登記も その土地の上に住まいを建てると建物に対する登記が、それぞれに必要となります。
さて、ご質問についてです。
この土地・建物の登記をご夫婦で共有名義とするか、単独名義とするか?
結論は、お金を出した割合(出資割合)で登記するのが基本です。
ご主人の意思とか都合ではないのにご注意ください。
例えば土地建物合わせて5000万、全額ご主人なら単独名義になります。ご主人が2500万で奥さんが2500万なら、半分ずつ共有名義ですね。(ローンも融資を受けた本人の割合になります)
もし、ご主人が4000万、奥さんが1000万だけど、登記はご主人単独名義とすると、奥さんがご主人へ1500万の贈与をしたことと判断され、贈与税の対象になる可能性が出てきます。
■共有名義にするメリット
1. 住宅ローン控除を夫婦それぞれで受けることが出来る
夫婦共有名義で登記をすれば、それぞれの収入に対して「住宅ローン控除」の適用を受けることができます。
(但し、お互い別の住宅ローンを受けた場合か、夫婦のうちどちらか一方が「連帯債務者」となり住宅ローンを組む場合)
したがって、現金で出す場合は住宅ローン控除の特典はありません。
ちなみに住宅ローン減税とは、住宅ローンの年末残高の1%が10年間減税されるという制度で、減税されるのは所得税と住民税になります。 また、マイホーム売却時の3,000万円特別控除も夫婦ともに受けられるので最大6000万まで可能です。
2. 相続税の節税
例えば、単独名義であるご主人と、ご夫婦共有名義である場合を比べると単独名義のご主人が亡くなられた場合は、その不動産評価額全てが課税対象となりますが、共有名義である場合はその持ち分割合に応じた評価分が課税対象となるので相続性の節税になります。
3. 住いの予算を増やすことが出来る
共有にするということは、夫婦お互いが出資したり住宅ローンを負担をするので住いの総予算を増やすことが出来る。
■共有名義にするデメリット
1. 片方の収入が減ったり無くなった場合、ローンが払えなくなる
夫婦共有名義にすることでお互いが住宅ローンの負担をする訳ですが、例えば夫が離職した場合や、妻が出産や子育てで離職せざるを得ない場合支払いが出来なくなってしまいます。
2. 離婚時に売却しにくくなる
住いを共有名義とすると、離婚時に財産分与や今後の住まいの事で揉める可能性があります。
売却には共有名義者全員の、承諾が要ります。 また、共有から単独名義へ変更する場合は、融資を受けた金融機関の承諾が必要になるとともに、住宅ローンを一人で返済することになる可能性があります。
3. これは御夫婦間ではなく相続時ですが、共有名義で登記している不動産に相続が発生すると、相続人がどんどん増えて行く可能性があります。
例えば兄弟で相続した物件があり、後にそれぞれ子供が生まれ、その子供の家族が出来・・・ 相続の権利を持つ人が増えて行きます。
当初の兄弟がいない場合などの際、この物件を処分する際は、相続人を探す事すら大変な事になるケースもあります。
■まとめ
共有名義の割合は、お互いの出資割合で決まります。
勝手な都合で持分の割合を決めると、贈与扱いとなる恐れがありますのでご注意ください。
浅野勝義/奈の町