
こちらの住まいは、しっかりとした職人の手間と、良材をふんだんに使った美邸で、
今回奈の町が設計監理をもって改修させて頂く事になりました。
こんな家が欲しい
● 耐震性が高い
● 冬暖かく夏涼しい快適な家
● 掃除がし易く、メンテナンスのしやすい家
● 食器収納は広く、コンセントを多くしたい
● 既存の建物の良い所を残したい
●雨の日に濡れずに車まで移動したい
● 大きなキッチンで家族で料理したい
● 家事動線を最短化したい
● 自宅ワークの為の書斎を造りたい(防音仕様)
● 調理家電を置くコーナーが欲しい
● ビルトインオーブン、食器洗い機
● 収納をたっぷりとって物が散らからないようにしたい
設計コンセプト
住まい手さんのご夫婦は奈の町の家と、耐震・断熱気密改修に共感頂いたことも
あって、建物の主な改修の仕様は耐震改修と断熱気密に重点を置いて改修して
います。
最終的には、基本設計を
耐震補強は、評点1.5を目標(最終的には1.67以上を確保できました)
断熱等級は、等級4を基本に気密シートと高性能断熱材で改修
和室4間取り部分は内部の断熱が難しいので外断熱、その他は外部の真壁を
生かすために内側に断熱層を新たに起こして内断熱を行いました。
また、床については、シロアリによる傷みの補修と、全面やり替えを考えています。
今回は耐震補強を含めて本体を全面的に見直した上で、勝手口からのアプローチ
に住まい手さんのこだわりが感じられましたので、その想いをプランに組み込み、
思い切ったリビングダイニングキッチンの空間を提案しています。
横に広がる空間と、縦に広がる空間を取り混ぜたLDKの大空間であるにも関わらず、
家族が家の何処にいても気配が感じられる。
そんな空間を目指しました。
また、玄関ホールと板間のスペースは、仕事も可能に様に、独立しつつ落ち着いた
異なる空間を演出しています。
勝手口へのアプローチは、雨に濡れないで車への乗り降りが出来る様、渡り廊下を提案
しました。
大空間の住まい手あるにも拘らず、省エネルギーで快適な家をコンセプトにしています。
住まい手さんとの出逢い
初めてお伺いさせて頂いた際、なんと手間とお金を掛けた家だろうと感心したものです。
玄関ホールの床板も2.8×0.8サイズの一枚板が張られており、天井には屋久杉の格天井と
驚いてしまいました。
住まい手さんは若いご夫婦で、
「祖母父が建てた家で、長く使われていない状態で、今住むには不具合も多い。
子供の頃には気づかなかったことですが、大人になって見れば見るほど祖母父のこだわりや
思い入れが感じられる。そこは大切にしたい。
一方で、家は今住む人を第一に考えたいとも思う。
玄関の床板、和室の欄間、階段、格天井は、なるべく有効利用したい。」
との想いですので、大切で貴重な部分は出来るだけ残しつつ再利用できる部分は使い、
ご家族が快適に過ごせる提案をしたいと感じました。
ご夫婦は、プランニングにはこだわっているけど自分達では形にできないという思いを
すごく感じました。
そのこだわりの特徴を整理してプランニング提案しました。
早速、順に改修内容をご紹介いたします。
まず、外観の玄関
外観はオーソドックスな柱と梁が外部に露出する和風建築です。
ご主人はそれをとっても気に入ってられました。
真壁造りは格子の玄関と漆喰壁ですからね。
問題点は、やはり真壁構造が持つ雨漏りし易い構造にあります。
今回は、この雨漏りの改修にも取り掛かりました。
詳しくはブログでご紹介しておりますので、そちらを参考にして
頂きたい訳ですが、柱が外部に露出している故に避けられない
雨漏りの対処は、現状の壁と柱の隙間対策を行った上に、新たな
外壁を設置する事で、雨の水の侵入を防止する対策をしました。
もちろん、瓦との取り合い部分の水切りも、新たに全てやり替え
しています。

写真(旧)
外部周りはそんなに大きく変えておらず、真壁を残すために内部断熱で対処しています。
また、玄関周りはやり替えました。片引きの玄関ドアで幅広タイプに変更しています。
また、1階の和室4間及び縁側のブロックの外壁は、内部を変更できない為に外断熱の
外壁として新たに設けました。
これで、当初の目的でもある断熱気密対策は確保できました。

玄関ホール内部
以前は幅約3m、奥行き11mの通り抜け玄関ホールでした。
南側の縁側までつながったホールに、ストリップ階段が取り付けられた玄関で、
昇り降りが急な上、オープン側の手すりが無く、ケ込み板が無いので、
昇り降りがちょっと怖い階段でした。


リノベ後でも、玄関ホールの広いイメージは残しました。
此方の玄関天井は、格天井に屋久杉の板が使われており、変更するのはとても勿体ないですし
住まい手さんも残したいとのご希望でしたので、のまま使わせて頂きます。

既存の真壁の前に新しい漆喰の壁を重ねる事で、立体感が増し、間接照明が入ると
既存の壁の存在感も、天井に視線が行くようにデザインを工夫をしています。

玄関横の和室を板間に変更
玄関ホールには古民家の造りと同じように和室が4間、田の字形で繋がっています。
このうちの2間を繋いで、特別の空間としました。
と言っても、壁天井はそのままで、床だけナラの幅広(30cm幅)の材料に張り替えています。
応接セットやデスク、ピアノを置く板間とし、背面には大量の書籍を収蔵する書庫を取り付けました。
また、床の色をレトロ風に黒く仕上げる事で、渋く落ち着いた空間になっています。
ペンダントの照明器具も、レトロ感を演出する為、以前のものを再利用しました。

以前の和室
リノベ後の板間



リビングダイニングキッチン
大空間のLDKです。
本間で28.4帖なので、一般的には33帖くらいの広さになるのではないかと思います。
この大空間の各コーナーには、リピンクやダイニングだけでなく、庭を眺めるティーカウンターや多人数で調理できるアイランドカウンター、
縁側に繋がる外部デッキ等様々なコーナーがあります。








洗面所と選択物干し場
以前のプランでは洗面及び浴室はキッチンの反対側にあり、いずれも幅の狭い空間でした。
今回は、キッチンに隣接して、ゆったりとした洗面脱衣空間と、広々浴室を設置、そして
室内干しのできるランドリールームを併設しています。



クローゼット収納
ご夫婦がこだわってられてそれを実現したのが、このクローゼット収納部分です。
家族全員の持つ服類や小物は全て収納したいと、広過ぎるほどのスペースがあります。
このスペースは以前の応接間を使って造りました。
今の暮らしでは応接間という空間は確かに必要ありませんよね。



階段
元々あった無垢のブビンガでつくられた階段に手を入れて、別の場所に新たに階段を
造りました。 手すりもそうですが、階段の勾配も緩くしているので、小さい子供さんも
安心して昇り降りができます。
以前の階段もご紹介しておきます。
踊り場部分が無く、直階段で急勾配、ストリップなので、私も昇り降りで少し怖く感じました。
再利用する段板は、無垢のブビンガなので取り外して埋め木を行い、寸法調整して新たに組み直しました。


最下段の下が空洞になっていますが、この奥にルンバの基地があります。
広いLDKの掃除は、この子にお任せします。
2階ホール兼読書コーナー
以前納戸になっていた2階の部分を階段回りとして使いました。
この部分は落ち屋根になっていて天井が低いのですが、それも廊下であるからこそ
使えるもので、洗面シャワールームと読書コーナーに生まれ変わりました。

2階のホールにシャワールーム兼洗面コーナーを設置しました。
トイレのスペースと兼ねていますので、使い勝手は良いと考えています。

その隣の空き空間にご両親と子供さんでベンチに並んで座って、本読みが出来るスペースをイメージして
デザインしました。
オープン棚は絵本や趣味の本などが沢山収納できるだけでなく、ホワイトボードを取付て、
子供さんの絵を書いたりストーリーを創ったりと使って欲しいと思います。
この場所が、階段ホールというだけでなく、そんな遊び場であったらいいなと思っています。

右手には障子が見えますが、この障子も開閉ができます。
開閉可能というより、正確には開閉が可動です。
例えば上の写真にある障子を動かすと、空間は吹き抜けと一体となり、障子は奥へと移動します。

2階フリールーム
以前は寝室として使われていました。

10.5帖(一般では12帖)の板間スペースです。
子供さんたちの遊び場として、ダンスやバレイ、フィットネス等自由に使えるスペースを創りました。
天井に勾配を付け、壁に鏡を張りましたので、更に広々感は増しています。

2階寝室
ケヤキの板などを生け捕りしました2階和室です。

この和室空間を寝室へと変更しました。
以前に使われていたクローゼットと、新しい化粧台も設置しました。
寝る際の明るさ防止の為、カーテンではなく建具を取り付けています。

1階勝手口
玄関からではなく、出入りは殆どこの勝手口で使われていました。
こちらのお宅でもそうですが、経験上リノベーションさせて頂いた住まいで、勝手口が主に出入り口で使い、
玄関はお客さん用で、家族の出入りでは殆ど使用していない事がとても多いです。

車庫から雨に濡れずに住まいまで入れるように設計した渡り廊下。
ただ通るだけの廊下ではありません。
本棚を創りその上の壁には絵画を飾れるようピクチャーレールを取り付けました。


この空間、私的にはとってもお気に入りです。
美邸の改修ですが、如何でしたでしょうか。
ご紹介したい所はまだまだあるのですが、とりあえずこの辺りで終えたいと思います。
浅野勝義/奈の町