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住宅の改修/住まいのリフォーム・リノベーション

 

昨今、現在お住まいの家の改修についてのご相談が多くなりました。
今の住まいを大切に長く使いながら、快適に暮らしたいとのご希望です。

そこで、住まいの改修、リフォーム・リノベーションをお考えの方へ

1. 既存住宅の問題点
2. 改修における調査ポイント
3. リフォーム。リノベーションの基本
4. 現場での注意点(改修の現場監理)

という目的別で分けてて、設計計画をする上での流れを整理してみたいと思います。

 

 


◆既存住宅の問題点

問題点は日々感じてられると思います。
改修を考えられる原因となる訳ですが、具体的にリストアップが大切です。
何を解決したいのかも確認する事が大切です。

【一般的な問題点】を出してみます。

1. 設備回りの機器や施設が古い。

給湯器やキッチン、浴室などは既に古くなっている。使い勝手が悪い。
又、見えない処では床下の給排水管や汚水処理設備が古く傷んでいる場合が多いです。

2. 建物の構造によっては間取りを変更できない場合がある。

現在の住いの構造が分からない。 そんな方へ。
ハウスメーカーのプレファブや2x4工法は改修出来ません。メーカー独自の型式認定を取っている建物の為、そのメーカーでしか改修が出来ない仕様になっています。 改修は、木造在来工法または、伝統工法(古民家)になりますが、何でも出来ると言う訳ではなく、構造検討上壁や柱の撤去が出来ない場合があります。

3. 断熱・気密性能が低い。

とにかく冬が寒い。外壁や窓が隙間も多く、断熱・気密効果が薄いので、室内温度が外気温と変わらない。石油ストーブ等は、各部屋に1台ずつ設置して暖を取っている。お手洗いや脱衣場、浴室はとても寒い。

断熱性と気密性が低いので外気温に影響します。夏は暑く、冬寒いのが一般既存住宅の特徴です。
平成11年(1999年)以前の建物は、特に断熱気密性が悪い。

4. 床の段差が多い。

床の畳とフローリングの段差やドアの下枠(靴摺)が転倒の原因になり易い。
床がフラットでない為に掃除機が当り邪魔。玄関の床高さと居室の床の差が大きい。

古い住宅は、急勾配の階段も多くみられます。 暖を踏み外して滑り落ちた場合はとても危険です。  また、手すりも設ける事もお勧めします。

5.使い勝手が悪い

暮らしてゆく中で、水廻りへの動線がとても悪い。 特に手洗い(トイレ)や浴室までの距離が遠く、使いにくい。 家事も面倒。

無駄な動線を無くすために間取りの変更も希望されることが多いですね。
動線の整理と部屋の構成の両立は、柱や壁を変更する必要があり、専門的な知識が無いと簡単に変更できないのが難点です。

 

古民家の床高さレベル測定

 

◆既存住宅改修の場合の調査部分

まずは現状の調査から行う必要があります。
問題のある部分を調査して改修部分を絞ります。

 

〇既存住宅状況調査(インスペクション)について

既存住宅状況調査(インスペクション)について

インスペクションの目的

  • 中古住宅を改修する際、適切な修繕やリフォーム内容を検討するため

  • リフォーム工事の前に、対象とする範囲を明確にするため

  • 建て替えとリフォームのどちらが適切か、判断材料とするため

住宅診断(インスペクション)とは
「既存住宅状況調査技術者(国土交通省認定)」の資格を持つ住宅の専門家が、建物の劣化状況や欠陥の有無、改修が必要な箇所、そしておおよその修繕費用について助言を行う業務です。

調査方法は、目視・触診・打診などを用いた非破壊検査 が基本となり、特殊な機器を使用せずに建物の現況を診断します。これにより、既存住宅の状態を把握し、今後の住まい方や改修計画に役立てることができます。

 

こちらで詳しいサービスについてご説明いたします。
1戸建ての住宅診断(インスペクション)

※”既存住宅改修のプランニング依頼”をお請けする場合は、プランニング料金に住宅診断(インスペクション)を含んでいます。
また、ご希望の場合はオプションにて耐震診断もお請け致します。

 

〇建物の周辺の地盤調査

建物周辺の地盤調査
建物の片側に大きな段差が見られる場合があります。この段差は、間知石などで築かれた擁壁によって生じており、隣地側が低くなっているケースが少なくありません。段差の高さは 2m〜3m程度 のこともあります。

こうした場合、建物の変形状況を調査すると、擁壁側へ向かって傾斜(滑動)している と考えられるケースがしばしば見受けられます。
例えば、土圧に対する安全角を30度と仮定すると、

  • 擁壁が高さ2mの場合 → 影響範囲は水平方向で約3.5m

  • 擁壁が高さ3mの場合 → 影響範囲は水平方向で約5.2m

となり、建物へも影響が及ぶ可能性があります。

また、擁壁がなくても、水路に接している敷地では 水路側の地盤が沈下しやすい傾向 があります。敷地と隣地の高低差が大きく、かつ地盤が軟弱な場合には特に注意が必要です。

 

○建物の間取り図作成(現況図の作成)

改修工事を行う前には、既存建物の間取りや構造の状況を正確に把握することが重要です。
そのために、現況の平面図や壁・柱の配置図を作成し、ご要望の変更が可能かどうかを検討します。

現況図は、建物全体だけでなく敷地を含めて作成することが望ましく、計画の精度を高める上で大変有効です。
なお、現況図が存在しない場合には、別途調査を行い、図面を作成いたします(別途費用が必要となります)。

 

 

○床の下がりと柱の傾斜

床の下がりや柱の傾斜は、地盤や床下の状態に起因することが多く見られます。

  • 広範囲の床の下がり:地盤沈下や地震による液状化などが主な原因です。

  • 部分的な床の下がり:施工不良やシロアリ被害などによって生じることがあります。

柱の傾斜は、これらの要因によって建物全体が歪むことで現れます。特に古民家では、長い年月の中で建物が徐々に歪み、柱の傾斜が生じている例が多く見られます。

床の傾斜の許容目安は一般的に 3/1000(3mm/1m)程度 とされています。しかし古い古民家では、部屋の端から端までで 30mm前後の高低差 があることも珍しくありません。中には 5/1000(5mm/1m) を超える傾斜もよく見受けられます。

同時に柱も傾いているため、建具がぴったり閉まらないことはご存じかと思います。ただし、その建具自体も長年かけて歪んだ柱に合わせて変形しており、もし床を水平に、柱を垂直に修正した場合、既存の建具がすべて合わなくなってしまうこともあります。

 

床下地を撤去して新たにフラットで造る

 

○床下の湿度(床下の傷みとシロアリ)

床下の空間の湿度が高い場合は、カビの発生やシロアリの被害が受け易くなります。 床下の地面がカラッとしていない場合は要注意です。
また、床下の土台や大引きの含水率にも注意が必要ですので、計測が必要です。

シロアリ被害。この写真は解体時に水回り部分の土台が無くなっているのを確認した写真です。点検口から床下を確認した際に見えるものではありません。

 

○雨漏りの確認

雨漏りの確認
まずは建物の外観と屋根の形状を確認します。外壁の形が複雑であったり、屋根に「谷(屋根面の合流部分)」がある場合は、特に注意が必要です。

雨漏りは屋根の谷部分から発生することが多く、一度雨水が侵入するとその部分に水の通り道ができ、強い雨のたびに家の内部へ水が入り込みやすくなります。侵入した雨水が壁内にまわると、断熱材を劣化させたり、内部結露を引き起こして土台などの構造部材を傷める原因となります。

そのため、天井に雨漏りの跡がないか、また屋根裏に浸水の形跡がないかをしっかりと調査することが大切です。

 

雨漏り跡

 

○耐震診断

現存する建物の安全性を確認するために、耐震診断を行います。
現況の平面図や柱・壁の配置図があれば、建物調査を行ったうえで耐震診断ソフトに入力し、建物の耐震性能を評価することが可能です。

診断の結果、安全性に不安がある場合には、耐震補強の検討を行います。特にリフォームやリノベーションを実施する際には、耐震性の確保を最優先に対処することが重要です。

人命を守ることは、改修工事における最も基本であり、最も大切な課題です。

 

 

調査機器とポイント【水分計・レベル測定・サーモグラフィ・床下配管】


◆住宅の改修・リノベーションの基本

リフォーム・リノベーション計画を考えるにあたって

以下に挙げる内容は、計画を進めるうえでの基本的な注意点や検討事項です。具体的なポイントも含めて整理していますが、ここでは「住まい手がどんな暮らしを望むのか」「どのような空間を実現したいのか」といった個別のご希望については触れていません。

実際に計画を進める際には、住まい手の想いを丁寧にお伺いし、それを設計に反映させることで、より暮らしやすく、自分らしい住まいが実現できます。

雨漏りの改修

建物にとって最も大きな問題の一つが雨漏りです。内部に侵入した雨水は、グラスウールなどの断熱材や柱・梁といった構造体を劣化させ、建物全体に深刻な影響を及ぼします。

天井や屋根裏に雨漏りの跡が確認された場合、その侵入箇所を正確に特定することは非常に困難です。屋根の葺き替えから長い年月が経っている場合には、部分補修ではなく屋根全体の葺き替えを検討されることをお勧めします。それほど雨漏りは、一度発生すると完全に止めるのが難しいものです。

また、屋根にソーラーパネルや温水パネルが設置されている場合は、それ自体が将来的に雨漏りの原因となる可能性があります。改修の機会に合わせて撤去することが望ましく、雨漏りのリスクを減らす有効な対策となります。

断熱性・気密性の向上

近年の住宅であっても、施工する側の意識次第で断熱性や気密性の配慮が十分でない場合があり、驚かされることがあります。

住宅を改修する際には、断熱と気密の工事を必ず行うことが基本です。これに尽きます。

断熱・気密性を高めることで、省エネルギー効果を実感できるだけでなく、室温のコントロールが容易になり、「夏は涼しく、冬は暖かい住まい」を実現できます。その結果として、建物自体の寿命が延びるだけでなく、住まい手の健康寿命の延伸にもつながります。

 

〇 ヒートショックから体を守る


建物の外周部すべてで断熱性・気密性を高めることで、室内全体の温度をコントロールしやすくなります。たとえば真冬でも、わずかな熱エネルギーで家全体を暖めることができ、どの部屋にいてもほぼ一定の温度を保つことが可能になります。

従来は「居間だけを暖房し、廊下やトイレに行くと寒い」といった不快さや不便さがありましたが、断熱・気密性能を高めればその心配はありません。住まい全体をつなぐように暖房できるため、入浴後の急激な温度差によるヒートショックのリスクからも解放され、安心して暮らせる住環境を実現できます。

床の段差解消と階段の安全化

室内での転倒を防ぐため、各階の床段差をなくすことが大切です。
建具まわりの敷居や沓摺(くつずり)は撤去、または床へ埋め込み、フラットな仕上げとします。和室の畳とフローリングの高さの差も解消し、安心して移動できる住まいに整えます。

玄関では、アプローチから玄関床までの高さを調整し、室内への段差を15cm程度までに抑えることが理想です。アプローチ側で調整が難しい場合には、土間と室内床の間に踏み板を設けることで、上がりやすく改善します。

また、急な階段は緩やかな勾配に架け替えることをお勧めします。階段寸法の目安は、蹴上げ200mm以下(推奨180mm以下)、踏面240mm以上(可能なら260mm以上) とすることで、安全で昇降しやすい階段となります。

 

 

左は新たな階段、右は以前の階段

動線の整理

住宅改修の目的の一つは、暮らしやすさを高めることです。

たとえば古民家では、居間が北側の暗い部屋にあり、食事は土間を挟んだ先の台所でとるという間取りが一般的でした。南側の明るい部屋は、来客や冠婚葬祭のために用いられることが多かったのです。

しかし現在では、特別な来客や冠婚葬祭に部屋を割り当てる必要は少なくなり、南側の明るい部屋を暮らしの中心に据えるプランが主流となっています。また、水まわりも離れ棟ではなく、建物内の使いやすい位置にまとめるようになりました。

このように、生活動線を整理することは、環境改善と快適な暮らしを実現するための重要なポイント となります。

 

設備機器の改修

住宅改修の中でも最も多いのが、水まわり設備の更新です。キッチンや浴室の交換、給湯器の入れ替え、コンロのIH化などは、日々の暮らしを大きく変えるとともに、改修効果を最も実感しやすい部分といえます。

設備機器を選ぶ際には、デザインや機能だけでなく、メンテナンスのしやすさ を重視されることをお勧めします。長く快適に使い続けるためには、この点がとても重要です。

 

 

 

 

左下:改修前、その他:改修後 明るく使い易いキッチンになっています。

室内は自然素材で仕上げる

現在の住宅では、新建材を多用した仕上げが一般的ですが、壁や天井には呼吸する自然素材を用いることをお勧めします。室内環境を健やかに保ち、調湿性にも優れています。

床材についても、無垢のフローリングを選ぶと快適です。特に柔らかい針葉樹のフローリングであれば、素足でも冷たさを感じにくく、心地よい空間を実現できます。

自然素材を取り入れた住まいは、快適さだけでなく、住む人の健康にもつながる空間をつくり出します。

 

 

床下の補強と段差解消、断熱の為に改修しました。右が改修前。左が改修後。

 

◆住宅改修の現場監理

改修と言うのは実際にどんな事をやるのだろう?
そう思われますよね。
そんな質問に対して施工業者と設計者が行う業務の一部をご紹介します。
現場監理の際に現地に居られましたら、様子をご説明いたします。

 

〇建物周辺の地形調査

建物周囲の地盤の様子を確認した上で、改修時に建物の骨組みの傾斜が連動していないかを確認します。
床が片方に下がっていたり、柱が全体に一方向へ引っ張られている様なケースは調べて見ると以外にあったりします。
現場では建物だけに気をとられず、敷地全体の影響も確認します。

 

〇床下はすべてやり替えが原則

古い住宅を改修する際には、床の段差解消、床下補修、そして断熱性能の向上を目的として、床の全面的なやり替えを行うことを基本としています。

解体してみると、外観はしっかりした住宅でも、床下の構造が想像以上に貧弱であったり、施工が不十分であったりするケースにしばしば出会います。大引の下の束が束石からずれている程度ならまだ良い方で、中には単なる木材が立っているだけ、束が浮いているだけ、といった例も見られます。「よくこれまで持ちこたえていた」と思うほどの状況に出会うことも少なくありません。

また、この際にシロアリの有無や床下の地盤状態を確認できるというメリットもあります。そのため、改修工事では床下を前面的にやり替えることが、安心で確実な方法だと考えています。

柱の傾き補修


古い住宅では、柱が傾いていることは珍しくありません。地盤の沈下に伴い、束石や柱が沈み込むことで建物全体が歪み、柱にも傾斜が生じていきます。

改修工事では、床の解体と同時に土台や壁の補修を行いますが、その際に傾斜した柱を矯正します。ジャッキアップによって柱や梁を水平・垂直に戻し、建物全体の歪みを修正します。

ただし、柱や梁が本来の位置に戻ると、それに取り付いていた壁には隙間が生じます。そのため壁を撤去・やり替えする必要がありますが、このタイミングで耐震補強を同時に実施することで、効率よく安全性を高めることができます。

建具のやり替え


建物が傾いている場合、外部・内部を問わず建具も歪んでいることがよくあります。建具は長い時間をかけて建物の歪みに順応し、隙間が出るたびに補修を重ねてきた結果、建物本体を修正すると既存の建具が使えなくなる可能性があります。

そのため、サッシ・玄関戸・障子・ドアなどは、新しく作り直すか、高性能なサッシへ交換することが必要になります。特に断熱性能の高いサッシに替えることで、開口部からの熱の出入りを抑えられ、冷暖房効率が大幅に改善されます。結果として、快適で省エネルギーな住環境を実現することができます。

 

 

〇基礎の補修・追加


コンクリート基礎について「鉄筋コンクリート造」と明記されたのは昭和46年の法改正からですが、実際に鉄筋が本格的に使用されるようになったのは、昭和56年(1981年5月)の新耐震基準以降と考えるのが妥当です。
そのため、それ以前に建てられた建物では、基礎そのものの補強や新設を検討する必要があります。工事の際には、床下のやり替えに合わせて基礎補強を行うことで効率よく改修が可能です。

耐震補強

1981年以前に建てられた「旧耐震基準」の建物はもちろん、それ以降に建てられた建物であっても、耐震診断を行い、上部構造評点1.0~1.5を目標に補強することが望まれます。

特に2000年以降は、

  • 建物基礎に関して地盤調査が必要となったこと

  • 柱や筋交いの接合部に使用する金物について、規定が詳細化されたこと

など、耐震性に関する基準がより厳格になっています。耐震補強計画は、専用ソフトによる計算検討を行い、建物の安全性を確認した上で実施します。

 

 

耐震補強

雨漏りにの対処

建物にとって最も重要な課題のひとつが雨漏り対策です。改修工事の際に、費用を抑えて内部仕上げだけをやり替えた場合、もし雨漏りが発生していれば水が壁内にたまり、断熱材だけでなく構造材まで劣化させてしまう危険があります。

そのため改修にあたっては、まず雨漏りの有無を確認し、原因を特定・修繕した上で内部改修に着手することが欠かせません。

 

 

断熱気密工事

快適な住環境を実現するうえで、高断熱・高気密工事は改修の重要なポイントです。外部に面する床・壁・屋根(天井)を切れ目なく断熱材で囲むことが大切になります。

ただし実際の現場では、高断熱・高気密の施工方法を十分に理解していない職人も少なくありません。そのため、注意点や施工方法を明確に説明し、正しく施工してもらうことが必要です。こうした指示を行い、工事の質を確保することも監理者の重要な役割です。

 

 

断熱気密工事/左:アイシネン、右:グラスウール+防湿シート

 

設計意図を伝える

設計図どおりに施工されているかを確認することは「監理業務」であり、現場管理とは異なる設計者の役割です。
しかし監理にはもう一つ大切な側面があります。それは、建築主(住まい手)の想いを施工会社へ正しく伝えることです。

設計図には設計者の考えや技術的な判断が反映されていますが、住まい手のこだわりや「これだけは実現したい」という想いがすべて図面に表現されているわけではありません。また、設計者の意図や「どちらでも良い部分」との違いも図面からは読み取れません。施工会社にとっては、その違いが分かりにくいのです。

そこで、現場の監督に直接「こだわりの度合い」を伝えることで、施工側からより良い提案を受けられることもあります。場合によっては、コストダウンやより良い材料の提案につながることも少なくありません。

 

 

施工完了報告の作成

施工会社が工事中の写真をしっかり残しているケースは、実は多くありません。記録が不十分だと、後で「どのように施工されたのか」を確認しにくく、判断に困る場面が生じます。

そのため私は監理に訪れる際、工事の進捗状況を写真で記録することを習慣にしています。本来は施工会社が提出すべき完成報告書や施工記録ですが、写真記録をほとんど残さない会社もあるため、監理者自身が責任を持って記録を補完することが重要です。

 

 

◆まとめ

住まいの改修の目的は、大きく次の3つに整理できます。

  1. 耐震性の向上
     耐震診断や耐震補強がこれにあたります。新耐震基準以前の建物はもちろん、2000年以前に建てられた比較的新しい住宅でも、検討が必要です。建物の軸組や外周部、床の改修など、対象は広範囲に及びます。

  2. 快適性の向上
     高断熱・高気密化による性能改善、床段差の解消、暮らしやすさを意識した設備更新や動線整理などが含まれます。改修を進めるほど快適さが実感でき、暮らしが豊かになります。

  3. 雨漏りの改修
     古い建物ほど雨漏りのリスクは高まり、外壁や屋根の形状が複雑な建物ほど弱点となる傾向があります。住まいを長持ちさせるには、雨漏りを防ぐ改修が欠かせません。場合によっては、雨漏りに強い屋根形状へと変更することも効果的です。

これまで、住まいを改修する際の基本的な流れについてご説明してきました。
リフォームやリノベーションは、完成した後の暮らしを楽しむだけでなく、その計画や工事の過程そのものが大切な体験となります。ぜひ、その記録を残し、住まいの歴史として次の世代へ引き継いでいただきたいと思います。

また、一度のリノベーションですべてが完成するわけではありません。二期工事、三期工事と段階を踏みながら、住まい手の暮らしや成長に合わせて住まいも共に育っていきます。

どうか焦らず、一歩ずつ。
そして何より、ワクワクしながら愉しんで進めていただければ幸いです。

 

 

浅野勝義/奈の町

 

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