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設計事例

小泉の茶室 (グミの木のある家の離れ)

新築

小泉の茶室 (グミの木のある家の離れ)
大和郡山 S邸茶室  2007年1月完成

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 “大和郡山市小泉の茶室”

住まい手の奥さんから、
「自宅でお茶を楽しみたいときにいつでも使える茶室が欲しい。」
そんなご希望から、
“グミの木のある家”の離れにこの茶室を造ることとなりました。

 

要望について

本格的な茶室で自分流のお茶を楽しみたい。
仕様・内容は私(浅野)へ全面的に任せる。

 

設計主旨と設計コンセプト

○本格的な茶室が楽しめる仕様とする
○使用する木材は、工務店さん所有の材料を吟味して使用する
○準防火地域内の条件をクリアーする
○同棟内に多目的(フリールーム)を併設する
○耐震性能を確保する

茶室というのは大変複雑かつきっちりとした寸法が決められており、
これらの寸法や決まり事を守りつつシンプルな茶室を目指しました。

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茶室棟外観

橋を渡って枝折戸をくぐるとをくぐるとそこは別の空間になります。
茶室へ入るための『にじり口』が明かり窓の下にみえますね。

にじり口は杉板を2枚半使うわけですが、こんな狭いドアを潜って入る
茶の世界は不思議ですね。

さて、順に流れを。
お茶に来られた方は左側奥の玄関から入り、中で準備を終えてから一度
外に出て、腰掛待合で待って頂いてから順にじり口へと入ります。

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茶室庭は小さいながらもにじり口への庭をつくりました。
蹲や延段、飛石・腰掛もあります。

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では、にじり口へ。

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にじり口から入るだけでなく、
直接中から入る事も出来るようになっています。

では、玄関へ入りましょう。
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建物の玄関です。

中には、準備の出来るように広い大部屋を取っています。
この大部屋は、お茶会の準備の部屋と言うだけでなく、
単独でイベントに使う事も出来るようになっています。
玄関に入ります。
玄関には多数の方が入る可能性がありますので、
沢山の靴が収納できる下駄箱を用意しました。

 

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中で準備が出来ましたら、写真の左手にあります襖から
中へ入って頂くことになります。
中は、相伴席と言い、多人数の場合部屋になります。

相伴席とは、簡単に言えば、お伴の方の席のようなもので、
この場合は前室的な使い方と考えています。

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板敷に3畳台目を敷いた感じにしています。

左手が入口で貴人口と呼ばれています。
貴人口の建具高さは1.5mと低く、気をつけていないと顔を
直撃してしまうのにご注意。(何度ぶつけたことか・・・)

 

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茶室の広さは4畳半。
とっても低い天井高さに驚きますよ。
それにこの空間、とっても落ち着きます。

腰に白や黒の和紙が張られていますね。
左手がハレ、右手がケとなります。

 

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右手の入り口から入ってくる訳ですが、その扉の傍に
にじり口が見えますね。

 

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たった60cm程の高さを持つ出入り口からお茶が始まります。

どんなえらい方でも頭を垂れて入るという意味合いだとかと
聞きました。

 

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相伴席と空間が繋がっていますね。
意図的に壁を抜いてみました。
空間が抜けていることで、少しは広く感じられるでしょうか。

 

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亭主の席になります。

点前座と炉が正面に見えます。
そして畳下には、炉も切っています。

左手には茶道口があります。
茶道口は、亭主がお茶を立てるための準備と運び込むための
通路になります。
当然、そちらには水屋があります。

 

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この茶道口には、太鼓襖が使われています。

この太鼓襖の建具は、寸法だけでなく和紙を切り込む引手の位置
まで作法で決められています。

まあ、茶室自体 作法で出来ていると言っても良いと思います。
自由に、なんて言いますが。

 

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水屋。

茶室建築と同時に茶器を多数買い求められたとか。
茶器の出番が楽しみですね。

この水屋から玄関へは亭主のみが出入りできる様に
なっています。

 

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以上です。

 

お茶室を設計している間は、とっても楽しいです。
そしてこの世界は奥が深いです。
設計をしている間、ずっと勉強ですね。

作法が多いですから。

桂離宮を始め、あちこちの茶室を見て回りました。
そして得るものもたくさんありました。

 

こちらの現場は、五条の工務店さんがとっても木に詳しく、
そしてふんだんに地元のヒノキや杉を使ってくれたので、
とっても優しい建物になったと思います。

ありがとうございました。

 

浅野勝義/奈の町

2017年6月

 

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