傾斜地に建つ家
サブタイトル
部屋いっぱいに景観を取り入れた住まい
大和郡山市 N邸 2009年4月完成
こんな家が欲しい
●シンプルでナチュラルな感じ
●シンプルな屋根、オープンな空間
●バルコニーでバーベキューがしたい
●洗濯物が干せるサンルームがほしい
●駐車場に屋根がほしい
●ロフトがほしい
●屋根に降る雨が見える場所がほしい
●小さな家
敷地の状態と設計コンセプト
初めて現地を見た時の驚きは、今も忘れることができません。
敷地の広さが80坪ほどあるのですが、その殆どが急斜地であり、
又傾斜地に沿って奥行きが無く、建築基準法的に壁面後退の指定がある
この場所に住まいが建てられるのかと・・・
住い手さんの
「南に開かれた景色がすばらしく、下を流れる小川の音が心地いいんです」
という話を聞き、私は俄然、設計意欲がわいてきました。
しかし建物の建築できるスペースは限られており、その中での計画は、
地上1階地下1階で、建物は112°の角度を持った変化のある建物を計画します。
現地の様子
右斜め半分の傾斜地部分が建築場所。 崖の上が道路になっています。
上の道路側から見ると敷地が無い?様に見えます。
外観
道路から見ると黒一色の平屋建。
下から見るとコンクリートと黒の2階建。屋根のデザインもあいまって、
好い感じのデザインになりました。
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ホール
玄関を入ると目の前に現れるシンプルで開放的な空間。
ここが、この家のへそ(中心)になります。
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茶の間
奥の一段上がったところが茶の間です。畳が敷かれています(写真では畳はまだ)
実はこの住まいにはTVの施設がありません。
畳の上で遠くの景色を見てリラックスする場所が茶の間なのです。
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この扉を出ると、バルコニー兼サンルームになります。
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建物が完成後、DIYでデッキをつくると言ってられた住まい手さん。
ここは気持ち良い場所になっているでしょうね。
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玄関
天井の高い開放空間が目を引きます。
玄関土間は小さいですが、このスペース全てが玄関でもあり、LDKの中でもあるのです。
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更衣室兼フィッティングルーム
玄関横にしつらえたこの家の大きな特徴でもある更衣室。
室内着と外出着を切り替える場所として毎日大活躍します。
この空間の活用法は・・・スゴイの一言。
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キッチン
奥さんこだわりのオーダーキッチン。
ステンレスの一枚天板で、ガゲナウのIHとガスコンロを別々に設置しています。
また、壁面付の換気扇(ハイキエース)をも取り付けています。
足元にはオーブンも設置します。
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キッチンの隣りには大型のパントリーをつくりました。
食材や調理器具などを奥さん考案の棚にしっかりと収納しています。
折りたためる食卓と、その上のロフト。
キッチンの隣りに折り畳みが可能なダイニングテーブルを取り付けました。
食事の際に組み立て、終われば倒しておいて空間を広く使う住まい手さんの
アイデアです。
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梯子を登ると、結構広い空間が広がっています。
ロフトと言うには広々とした部屋の様です。
ここから下を見る景色が好いです。
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階段
1階玄関よりまっすぐ降りるとサンルームになります。
階段ホールとサンルームを兼用していますが、広く明るいこの場所が
洗濯物干し場でもあり、洗面所でもあり、読書ルームにもなるのです。
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ここを出ると、地階のバルコニーに出ます。
雨の日でも沢山の洗濯物が干せますよ。
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寝室
この住まいの中で、一番落ち着く空間がこの寝室です。
半分地面に埋まっており、静かでやわらかい日差しの入る場所です。
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浴室
階段を下りたホールに面して脱衣・洗濯機コーナーを設けました。
接して浴室を設けました。
壁天井とも本物のヒノキ貼りの浴室です。
私もこの浴槽に浸かって、ゆったり気分になりたいです。
ここは見晴らしが一番良いところだと思います。
このお風呂について楽しいエピソードがあります。
設計中に奥さんから電話がありまして、、、
「浴槽がネットで5万円で売りに出ています。買ってもいいですか?」
浴槽があるならじゃあ作りますか。
ということで床は御影石を張って製作となりました。
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建物の紹介は、以上です。
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ところで、あなた。
こんな変わった建物の工事途中って興味ありませんか?
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あります?
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お安いなら私も傾斜地を買おうかなって思っていません?
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そうなんです。 お安いです。
だって普通の人ならこんな傾斜地に家を建てるなんて考えません。
現地を見れば絶対あなたもそう思いますから。
でも建築家は建てることを考えます。
その工事がどんなだったかをご紹介しようと思いまして、
今回、現場の様子を書いてみます。
興味がありましたら見てください。
スゴイ工事内容ですよ(笑)
現地(再度)
整地して工事が始まりました。
まさに、” 崖” ですね。
柱脚部分の基礎にはPC杭が打設されます。
今回、先行してPC杭の工事から始まります。
また、地階をつくるためにこの土を撤去します。
ただ、取ってしまうだけでは崩れますので、道路際に矢板を打って
土留めとします。
底の深さは約5mぐらいだったと思います。
その下にPC杭が打たれているのが見えますね。
そこ板の防湿シートの上に赤いラインで書かれているのが基礎になります。
繋ぎの地中梁もみえますね。
この写真は道路から撮っています。 底との高低差が分かりますか?
基礎底板の配筋を済まして検査をしたところです。
柱、地中梁の配筋検査もあります。
コンクリートの打設を行っているところです。
周りの色が変わっているのが分かりますでしょうか?
周りから打設しているのは、基礎や地中梁が外周部にあるからで、
ここを先にコンクリートの打設をするのです。
ベースのコンクリートが固まり、型枠を取り外したところです。
次は立ち上がり部(壁)の配筋が始まります。
次は1階床の配筋になります。
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まあ、凄い配筋ですよね~。
木造の住宅とは比べ物になりません。
この後、コンクリートが打設されました。
次は地上1階の木造部分になります。
いつもの基礎の立ち上がりです。
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この後コンクリートが再び打設されました。存知期間後、型枠を外すと
美しい基礎が出来上がっています。
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これから大工さんが土台を据える準備をし始めています。
地階の内部も型枠が外され美しく仕上がっています。
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外部から見た様子を見てみましょう。
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どうですか、美しく上がったと思いませんか?
さて、土台が敷かれましたら建て方(上棟)に取り掛かります。
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屋根仕舞を済ませると、建物の形がはっきりとしてきました。
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大迫力ですね!
外部の耐力壁をはり、防水シートを張ります。
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内部は構造金物を取り付けると、断熱材の吹き込みにかかります。
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地階は、電気・給排水の配管も取り掛かります。
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内部の下地ボードが張りあがると、工事は終盤に入ります。
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外部もほぼ終りに掛かりました。
後は屋根付きの駐車場を設置する所までやってきました。
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この様にして建物は完成に至りました。
(内部工事はかなりはしょりましたが、いつもブログで書いてるので
ここは割愛させてくださいね)
まあ、その間いろいろありました・・・・
でも、完成して本当に良かったです。
工事のご紹介でした。
長い長いページまで見て頂いて、有難うございました。
浅野勝義/奈の町